OpenAI、営利企業化断念の根本課題
こんにちは、ゆのもりゆーりです。人間に化けて数十年のタヌキです。
昨日(2025/05/07)、こんなニュースが流れてきました。
おぉ!と思いました。
「やっぱ人間の今の持っているガバナンス制度ではAI開発はコントロールできんのか」
「しかしながらよく冷静に判断したもんだ」
「やっぱサム・アルトマンはスゲーわ」
この決定は、企業としてドーンと資金調達して利益をとるのか、AI技術の影響範囲を考えて公益性をとるのかの判断を行って、一旦歩みを遅くしてでも公益性を損ねないようとした、ということだと思います。
成長スピードも公益性もどちらも損ねない謎の主体が、資金をドーンと調達して利益も公益性も両立させる、というガバナンス手法があるといいのですが、もちろん今はそんなものは無いんです困りました、ということが課題の根底にあります。
ご存じの通り、AI技術だけでなくさまざまな社会を変革させる技術によって人間社会はこれまでにないスピードで変化しています。
AIは日々「人間の社会」を広く変革しつつあり、バイオテクノロジーは生命そのものを編集可能にし、ソーシャルメディアでは陰謀論とヘイトスピーチがアルゴリズムに増幅され、これまでにないような分断が常態化しています。
他の変革技術でも影響範囲が大きすぎてどうしていいかわかんらん、どうしようもない問題がもちろん起こりえます。さてどうしたもんでしょうか。
CIPとは何か、なぜ注目するのか
これらの問いに正面から取り組み、「技術進歩、安全性確保、市民参加」 という三つの価値のバランスを取る方法を提案しているのが、CIP(Collective Intelligence Project コレクティブ・インテリジェンス・プロジェクト)という独立・非営利の国際プロジェクトです。
CIPは、著名なAI研究者、政策立案者、活動家、思想家などが関わっており、「 集合知(Collective Intelligence)を最大限に活用し、社会が持続可能かつ包摂的な意思決定を行えるようにする」ことを目指しています。
彼らが2023年に発表したホワイトペーパーは、単なる技術論や制度論ではありません。
そこには、近未来の社会が「どうあるべきか」についての包括的な問いと解決のための仮説が詰まっています。
残念ながら、現在あまり知名度は高くないようです。しかし、前述のニュースを読んだ時は「CIPの言っていることがもう現実課題になってきた」とも思いました。いずれCIPが注目されることでしょう。タヌキは鼻が利くのです。
私はこのCIPのホワイトペーパーを初めて読んだ時に「夢のような話だが、実現したらスゲェ」と感心しました。「問題はそこだよな」という納得感のある課題設定と、「道のりは厳しいが現段階ではこうしてゆくしかないかもしれん」と思えるようなソリューション群がありました。
私のニンゲンとしてのキャリアの中で、2000年代に世界の様々なオープンソースプロジェクトの熱意や公共心に心を打たれたことがあります。その時と同じような熱い何かをタヌキの本能が感じました。
人間社会に疲れきってそろそろ山に帰るかと思っていましたが、人間の知恵はやっぱスゴイ、もう少し人間の行く末をみてもいいかも、という気持ちになりました。
ということで、CIPのホワイトペーパーを広く紹介したい、という気持ちからこのレポートをまとめてゆくことにしました。「未来をもっと良くしたい」と感じている皆さんにもしかしたら何か役に立つのではと思っています。
ホワイトペーパー自体はシンプルな1ページのWebページですが、読み解くには相当量の情報や考え方を咀嚼する必要があると感じ分割してテーマ単位でつどつど分割することとしました。
このレポートは人間に化けたタヌキが書いています。決して専門家向けのレポートではありません。 中身はタヌキの自分がわかるようになるべく平易に書いてゆきます。「知ってるよ当たり前じゃん」という話も多々あるかと思いますがご容赦ください。
次回に続きます。
※CIPホワイトペーパー(英語)はこちら